物語STORY
戦後間もない高度成長期の日本。
私立探偵・東京都繰子は
黄昏時の停留所で、一人の男と出逢う。
男は被差別部落の出身だと、自分の出自を明かした。
そのルーツは唱門師と呼ばれた祭祀者の末裔だという。
安倍晴明伝説の裏に隠された差別の記憶。
信田妻の正体。聖と穢れの境界。
そして、「見えてしまう」という血筋の業。
男は言った。
停留所の隅に、白い着物の女が立っている、と。
見える、というのは一体どういう意味なのか。
男は静かに言う。
「まだ誰も、見た後のことを話した者がおらんのですわ」